老いと空手
私には83歳になる両親がいます。
現役を退いた父は現在知り合いの寺の管理を任され、毎日書道の師範として生き生きとした日々を過ごしています。
母の方は、昔から色々なものに興味旺盛なので頭はしっかりしてはいますが、背中が曲がり始め「よいしょ」「よいしょ」と言って自分を鼓舞しながら体を動かしています。
昔はどこに行くにも母は私を連れて行きました。
颯爽と歩く母についていくのが大変だった一方で、母が「昭光(私)は男の子だから荷物運びは任せたよ!」と言って私が小さいながらも頼りにしてくれていたことが嬉しい思い出として残っています。
手を引いてくれてた大きい母は今では私の手のひらに乗るのでは?と思うくらい小さな体になってしまい、買い物は相変わらず私が荷物運び係ですが、母が私の手を引くのではなく私が母の手を引くようになったのが昔とは立場が逆転し心がギュッと締め付けられます。
そんな母を毎月1度歯医者に連れていくのですが、その歯医者さん、年齢コードを課しているのでしょうか、待合室には60歳以上の患者さんしかいません。
皆さん、歯だけではなく体のそこかしこに問題を抱える方ばかりです。
治療が終わり靴を履こうとしている70代の老紳士。
屈むことが出来ないため、少し遠くに脱いだ自分の靴を長い靴ベラを使って足元に手繰り寄せています。そして手繰り寄せた靴をやっとのことで履き終えると、今度は他の患者さんの脱いだ靴の上を踏みながら扉を開けて外に出て行かれます。決してワザと他人の靴を踏んでいるわけではありません。高齢になると多くの方が足を引きずるように歩きます。そしてその歩き方が癖になってしまっているためどんどん脚力が落ちていきちょっとした段差にもつまずいてしまうようになってしまっているから他人の靴も踏んでしまうのです。
その老紳士を見て、ちょっとだけの脚力と柔軟性があれば日々の生活は格段に快適んいなるだろうに、、、と思いました。
次に診察に呼ばれた80歳くらいの老婦人。
待合室の椅子からすぐに立ち上がることができません。そこでその婦人、次に取った行動が椅子から垂れ下がった足を前後に揺らし、その反動で立ち上がろうとしました。シーソーの要領でいいところまでは行くのですが、立ち上がる直前でやはり椅子に逆戻りしてしまいます。その後も足を振り子にして数回繰り返すもやはり立ち上がるところまではいかず、私が少し婦人の背中を押してあげようやく立ち上がることができました。
その老婦人にちょっとだけ腹筋の力があれば自分自身で立てたのに、、、と思いました。
70歳以上の人を見て大切なのは以下の3つ
-背筋を伸ばして歩ける程度の背筋
-椅子から立ち上がることができる程度の腹筋
-ちょっとした段差につまづかない程度の脚力
日本は今後ますます高齢者が増えていきます。
私の道場ではシニア門下生の方が100歳になっても日常生活を60歳の頃のように過ごせる筋力と体力と正しい姿勢の維持を目指します。
「年齢を言い訳にしないシニア」
それが私が指導するシニアクラスの空手です。
50歳、60歳、70歳、空手を始めるのに全く問題ありません。
毎日健康で楽しく過ごすために空手はあなたをしっかりサポートします。